ニッポン野遊び化計画

いい歳こいた大人が全力で外遊びをするアウトドアブログ。キャンプ・低山登山にくわえて、バンライフや多拠点居住などのライフスタイル系も。アウトドア初心者にもオススメ。

1937年創業の斧作りのプロ。三条鍛治の伝統を受け継ぐ水野製作所を見学。

以前テント用ペグ「エリッゼステーク」で有名な「村の鍛冶屋」さんのネットショップで小振りなハンドアックスを見つけました。

 

その時は直感的に「うおー欲しい!」と思ったけど、あっという間に売り切れ。その後はしばらく欠品状態でWeb上には11月以降入荷予定という表記が。

 

それ以来、その斧の刃を製作している斧作りで有名な水野製作所さんがずっと気になっていました。ちなみに水野製作所さんは1937年創業の老舗の鍛治工房です。

 

ちょっとだけ話はそれますが、キャンプでの薪割りはナイフや鉈の方が手軽だし、それで十分割れますよね。

 

でもやはり重さがある斧の方が圧倒的にラク。あとは単純に見た目的にワイルドでかっこいい。

 

やはり実物を手にとってみたいという思いもあったので、毎年10月に燕三条で行われるオープンファクトリーイベント「工場の祭典」に合わせて、三条市萩堀にある水野製作所さんを訪問してきました。

 

ちなみに「オープンファクトリー」とは、一定の期間工場の中の一部をオープンにして、一般の方の見学を受け入れて工程や製品の説明をするイベントです。

 

老舗鍛治工房の斧作りを見学

 

車で三条市の市街地から車を走らせること20分ほど。山深い自然の中に水野製作所さんの工場が見えてきます。

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シブい手書きの看板に「想像を創造する」という社是のような言葉が書いてあります。なかなか硬派な雰囲気。

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その入り口をくぐると、そこにはいろんな種類の斧がディスプレイされています。

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「全鋼」と呼ばれる刃がすべて鋼のタイプと、「割り込み」と呼ばれる鉄に鋼を挟み込んでいるタイプ。また柄もオイルを入れて焼き付けをして黒っぽくしているいるものと白木のものが。

 

さらに和風のストレートな柄と曲がった西洋風の柄もあります。いやーどれも重厚感があって美しすぎる。

 

その後いよいよ奥の工房で製作工程を見学。

 

ぼくは少しだけ遅刻してしまい途中からだったのですが、まずは刃の材料全体をコークスで熱する作業から見学。

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その後スプリングハンマーという機械で形を整える作業を見せてもらいました。

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スプリングハンマーを使うと、熱せられた鉄の塊があっという間に変わっていくのがわかります。あたりまえですが手で叩くより圧倒的な効率の良さ。

 

ぜひ次の動画をみてその手際の良さを実感してください。

 

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その後は切れ味を増すために刃先に焼き入れをした後は、さらに細かい磨きを掛けて仕上げます。その後の仕上げにはニス仕上げと、ニスを塗らず油で拭く仕上げ(焼柄の商品)の2種類があります。後者の仕上げの方がより高級感がでるとか。

 

ふと横をみると、素材をつかむ「火づくり箸」と呼ばれる道具が目に入ります。その素材にあわせて掴み口を加工してあるのか、さまざまな形状のものがあります。

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そして隣の部屋では磨きの工程をしている職人さん達も。「バフ」と呼ばれる道具で一つ一つ丹念に磨かれていきます。

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伝統的な斧に入っている彫りの意味とは?

 

ちなみに興味深いのは斧の頭に入っている彫り。

 

伝統的な斧には左に3本、右に4本の筋が刻まれています。これは危険な山仕事の最中に、事故に遭わないように八百万(やおよおろず)の神々とともにある、という信仰から刻まれたものだそう。

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斧を使って森から大切な命をいただいた際に災いが降りかからないよう、左の3本が災難を表し、それを右の4本で避けるという言い伝えになってます。

 

現在では型で溝を刻むので多少工程が簡素化されてますが、本来は鉄が赤いうちに「タガネ」という道具を使って刻んでいたそうです。

 

想像から創造する精神

 

また二代目であり代表の水野勲さんは伝統工芸師でもあり、またにいがた県央マイスターと呼ばれる匠の称号をもつ職人。三条鍛冶の伝統を受け継いでいる一人です。

 

そしてなんと水野製作所さんは、三条市上保内にある「保内山王古墳」から出土した4世紀頃の鉄斧(てっぷ)の復元も手がけているとか。

 

www.city.sanjo.niigata.jp

そういった試みも、古代鉄斧の復元から得られた知見を現代の製品にフィードバックできるものはないか、という水野製作所の飽くなき探究心から出たもの。まさに看板に掲げられていた「想像から創造する」という精神がここに生きている気がします。

 

そして水野製作所さんは、「東京一光」というブランドで板金用の掴箸も製作しています。

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これは宮大工の方から現代建築のサッシをあつかう一般建築の大工さんまでが使っている屋根の板金に使用する道具。

 

水野製作所さんの掴箸は、その精度の高さや使い勝手からネットでもつねに売り切れ状態、約半年待ちの製品になっているとか。

 

ちなみにぼくは見学後に「ハンドアックス450g 白樫360mm曲柄」を購入。和風のストレートな柄も捨てがたかったのですが、ぼくにとっては曲がり柄が持ちやすく、そのデザインも気に入りました。

 

おかげで次のキャンプで薪割りをするのが待ちきれないくらい楽しみに。


もし毎年10月頭の「工場の祭典」に行く機会があれば、ぜひ水野製作所さんがつくる三条鍛治伝統の斧を見に行くことをぜひオススメします。

 

・水野製作所 オフィシャルサイト

https://mizunoss.com